脳をトレーニングしよう! ~ペアトレを活かして~ 第4回 発達が遅い子の脳って? ~枝は伸びる~
こんにちは。
今回は、海馬回旋遅滞(かいばかいせんちたい)のメカニズムと
その周辺の枝ぶり(ネットワーク)をどう伸ばすか、
について考えていきます。
参考・引用文献として使用させていただいている筆者によると、
海馬または偏桃体の形成に発達の遅れがあることを
『海馬回旋遅滞』と呼んでいるそうです。
この海馬回旋遅滞は、脳の損傷ではないため
ゆっくりでも少しずつ脳は育っていきますが、
遺伝的要因が関与していると思われています。
また、海馬回旋遅滞は、
左脳に多く
女子より男子に多い
というデータもあります。
海馬回旋そのものの発達が進んで本来の海馬や偏桃体の形態に到達する
と言うことはほとんどありません。
しかし、病変や損傷ではないので、
周辺の細い枝ぶりを使えば使うほど
太くて一度に大量の情報が通る枝ぶりに育ちます。
海馬回旋遅滞があっても
全員が発達障害になるわけではありません。
次に発達障害にならない
3つのタイプについてまとめてみます。
①発達型海馬回旋遅滞
→生後の教育や環境によって脳の枝ぶりが良く伸びた結果、
症状がほとんど目立たなくなった場合。
②能力突出型海馬回旋遅滞
→突出した能力が求められるような社会的立場について、
発達障害の様な突飛な行動や発想が、むしろ強みになっている場合。
③境界型海馬回旋遅滞
→ちょっと癖はあるけれども、発達障害というほどでもないという場合。
(大人の発達障害として表れる場合もある)
(おそらくこれが最も多い)
*大人の発達障害
→学業成績に問題がなかったケースも多く、社会人として対人場面が多くなること
で、能力のひずみに気が付くことも少なくないようです。
いずれの場合も、成育歴や家族の話を聞けば、発達障害らしい一面が
ある(あった)場合がほとんどです。
しかし、発達障害と言うのは、『生活上の困難さ』があり、
『社会不適合を起こしている』ことが重要なポイントです。
もしも脳に明らかな所見があったとしても、
その人が困って病院に行かなければ、発達障害の診断は通常はなされません。
海馬回旋遅滞がある人は多かれ少なかれ
一癖二癖ある事が多く、学生時代に目立った問題行動がなく、
進学や就職が出来ている場合には、発達障害の枠に当てはまらない場合が多いのです。
海馬回旋遅滞があっても、軽度であれば、
教育によって症状が目立たなくなったり、生き方によって強みに変えたり、
周りの理解や協力を得たりして、脳を独自に伸ばして、
強みを作っていく方向へと持っていくことができます。
以上のことからも、子どもの個性と向き合って、
・上手く関わる事(ペアトレの利用)
・周囲の協力や理解を得ること
・脳を育てるための経験や情報入力
・脳を育てるための食べ物と酸素
・楽しく活動すること
などを理解して子どもの個性を伸ばしていくことが
脳の枝ぶりの成長につながっていきます。
子どもは自分の脳を使える遊びに対して意欲的です。
筋肉のように
脳は使えば使うほど伸びるので 『好きこそものの上手なれ』 は
脳の成長の好循環の法則を言い当てています。
好きなものに触れるチャンス=脳がいっそう発達
↓
苦手な活動=脳を使う活動を無意識に避けている
↓
・未熟な脳を使う機会が減る
・脳の発達が遅れる
↓
悪循環
子どもの楽しさや苦手な事も取り組める姿勢を引き出すには、
ペアトレの活用も役立ちます。
ぜひ、『親子タイム』『肯定的注目』『協力を引き出すには』を活用してみてください。
参考・引用文献:発達障害の子どもを伸ばす 脳番地トレーニング
加藤俊徳著
リハビリ発達支援ルームUTキッズ河合
酒井 留美
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