『車の運転で思うこと』
こんにちは。作業療法士の酒井です。
近頃高齢者の運転について様々なニュースを見聞きすることも増えていますね。
認知能力が少しずつ鈍くなる、その点は免許センターで簡易試験も行われるようになり、
事前に学習するための書籍も本屋さんで見かけるようになりました。
しかし、これはあくまで“簡易”検査。
警察だけでなく専門家も判断に加えて欲しい、
認知面だけでなく身体の機能面もしっかり判断して欲しい、
特に足首の力、動きはとても重要と思っています。
実際、首都圏の免許センターには非常勤で作業療法士が出向いています。
自分では自信があっても、第3者の専門家が見ると疑問を持つことも多々あります。
しかし私たちはあくまでも状態を判断するだけ。
最終的には本人とご家族の決断になります。
また、お住いの地域によっては車がなければとても不便な場所もあります。
そのためなかなか車を、免許を手放せない方々を沢山見てきました。
最近私が特に考えるキッカケとなった一例ですが、
一人暮らしの後期高齢者の方がいました。
毎日のようにご自身で運転をして買い物や趣味の場所に出かけていました。
昨年末くらいからミラーをぶつけたりするようになり、ご家族やお友達からも運転を控えては?と声が掛かるように…
それでも車の便利さからは離れられず、運転を続けていましたがついに車同士がスーパーの駐車場でぶつかってしまう人身事故を起こしてしまいました。
幸いにもお互いにケガはなく、簡単な車の修理で済みましたが、事故を起こした本人は
ケロッとしていて「車ぶつけた」「ミラーの死角で」「アクセルとブレーキを間違えた」
「まだ次の更新まで2年と1か月あるからそれまでは乗るつもり」など言っていました。
ご家族はもちろん今すぐにでも運転を止めるように説得を始めました。
買い物や受診は送迎できる、趣味の場所は歩いて行ける、周りのサポートは万全ですが
本人が頑として受け入れてくれません。
こんな状況、私たちは無力です…
すべては本人、ご家族の決断なので。
しかし、このような現実を本人が納得できる一材料として専門職の導入をしていくことが
必須なのではないかと常々思っています。
車の運転は今では生活の中で重要な部分ではありますが、
車は一歩間違えれば凶器になってしまうことを、後期高齢者、障がい者、年齢問わず
常に心に留めて運転をしてもらいたいと思っています。
私自身訪問業務のため長い時間の運転を行っています。
時間に遅れそうになると焦ってしまいますが、そんな時こそ周りを冷静に見て運転する
自分でありたいと日々頑張っています。
事故で悲しむ人、傷つく人、そんな人を減らすことは
一人一人の心と思っています。
運転の技術も免許保有についても、たまには自己を見つめて考えること、話し合うことが
必要ではないでしょうか。
安全で平和な社会を今日も願いながら運転をしていきませんか?
ユーティー訪問看護ステーション
作業療法士 酒井留美