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2025.09.08

私の原動力

こんにちは。盲導犬と共に働く作業療法士の辰己貴之です🐾
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
残暑が厳しい日が続いております。どうぞ健やかにお過ごしください。

今回は「リハビリ中、私を支えてくれたもの」についてお話します。

私は突然、髄膜炎を発症し、左半身に麻痺と感覚障害の後遺症が残りました。
病院のベッドで寝たきりの生活を過ごしていましたが、当初のことは正直よく覚えていません。頭がぼんやりしていて、気が付けばベッドの上で足首を動かすリハビリをしていました。リハビリの担当者さんが足を動かしてくれながら、「自分でも動かしてくださいね」と声をかけてくれたのをなんとなく覚えています。でもそのときは、「よくなりたい」という気持ちがあったわけではなく、ただ言われたことをしていただけでした。自分の状態がどうなっているのか、あまり理解できていなかったからだと思います。

されるがまま、言われるがままにリハビリを続けていき、だんだんと自分の体の状態を理解していくにつれ、現実的な不安が出てきました。当時の私は小さな子どもが二人おり、「私の収入なしでこのまま生活していけるのか」「家族も私の状態を前にして、不安を口に出せずにいるのではないか」と、そんな不安を抱くようになっていきました。
今思えば、妻はできる限り私に明るく接してくれていたのかもしれません。
不安だらけだった私の気持ちに少しずつ変化が出てきたのは、毎日声をかけてくれるスタッフのおかげでした。リハビリの担当者さんの「頑張っていきましょうね」や、病棟のスタッフさんの「少しずつ良くなってきていますよ」といった言葉が少しずつ心に染みてきて、「家族のために体を良くしていきたい」「もう一度自分の足で歩きたい」という前向きな気持ちが芽生えてきたのです✨

この頃から、ベッドから離れる時間を長くするために、車椅子に座って過ごす時間が増えていきました。車椅子に乗っていると、家族が「気分転換に外に出てみようか」と、病院内や敷地の外まで連れ出してくれたこともありました。これは私にとってとても嬉しく、家族と過ごす憩いのひと時となりました。
そしてもうひとつ大きな力になっていたのが、友人や職場の仲間たちの存在でした。時間を見つけては面会に来てくれ、たわいない話をして笑ったり、美味しい差し入れを持ってきてくれたりしました!そうした日常の中のひとコマも、私にとってはかけがえのない支えでした✨

リハビリも、担当者さんが私の体の状態に合わせて進めてくれたおかげで、平行棒を使って立つ練習、そして歩く練習へと順調に移っていきました!自分の足で立って一歩踏み出せたときの嬉しさは、想像以上でした😊
息子が一人で歩けるようになった頃、喜んでいる私たちを見てドヤ顔で歩いていた姿を思い出し、「もう歩けないかもしれないと思っていたのに、歩けるようになるって、こんなにも嬉しいことなんだな!」と改めて実感しました。

リハビリをここまで続けられたのは、もちろん医療スタッフの専門的なサポートや、友人・職場の仲間たちの支えと、毎日そばにいてくれて、話を聞いてくれて一緒に笑いあったり、杖で歩く練習に付き合ってくれたりと、精神的にも実質的にも支えてくれた家族の存在があったからだと、私は強く感じています。
リハビリにおいて本当に大切なものは、「何をするか」よりも、「何がリハビリをするための原動力になるのか」だと思いました。
私にとっての原動力であり、リハビリを頑張るための支えになったものは、いつもそばにいてくれた人達でした。その人達のために“恩返しをする”ことが、今の自分の原動力となっています!!!

管理本部 作業療法士 辰己貴之