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2024.01.04

空間言語の発達よもやま話

いつもリハビリ発達支援ルームUTキッズをご利用いただきありがとうございます。

リハビリ発達支援ルームUTキッズ 言語聴覚士 植田です。

 

日本語には色んな種類の言葉がありますが、今回のブログでは空間的関係を表す言葉についてお話します。空間的関係を表す言葉なんて聞くと、一体どんなすごい言葉なのだろうと思われるかも知れませんが、ほとんどは「冷蔵庫ののプリン」「机のにいるネコ」の傍線部のような身近な言葉ばかりです。子どもたちがそれらの言葉を習得していくのには順序があるということはご存じのことと思いますが、細かな順番についてはあまり意識をされないことではないでしょうか。

代表的な言葉の習得が早いものから順番に並べると「奥」「上下」「外」「「真ん中」「前後」「隣」「左右」になりますが、この「左右」がなかなか曲者で、子どもたちも間違いを何度も繰り返しながら時間をかけて習得していく言葉になります。

言語発達の研究の中には、空間的関係を表す言葉の習得背景に、子どもたちのどのような成長があるのかを調べたものがあります。空間的関係を表す言葉のほとんどは、それ以外の色々な語彙が増えるにつれて習得されていきますが、「左右」だけはちょっと特別で、語彙の増加というよりも空間認知の発達が重要な要素になっていることが分かっています。

療育に携わる中で、鏡文字や読み書き、算数など学習面についてのご相談をいただくことがありますが、実はこれらと「左右」の理解は無関係ではありません。UTキッズでは、身体を色々と動かして遊ぶ過程で、身体を動かしたり工夫したりする楽しさを知ってもらったり、お友だちと仲良く遊ぶ方法を知ってもらったりしていますが、自分の身体で環境に関わる経験を積むことを通じて、空間認知の発達、ひいては学習する力の成長のサポートも行っています。

今回は空間関係を表す言葉についてお話しましたが、その習得順序を知っていることは意外と大切です。子どもたちに言葉をかける時、伝わりやすい表現は何だろうか、どんな感じ方で環境を捉えているのだろうかと考える手掛かりの1つになります。形容詞などでも習得順序(「短い」より「長い」を先に習得するなど)がありますが、やはり言葉がけには大切な知識になってきます。長短を大小(「大きい」「小さい」)で表現する子に対しては、まず「長い」ものに注目してもらえば良いのではないかなど、日頃何がなく使っている言葉でも知識があることで自然と言葉がけへの意識も変化していくかと思います。お子様へのお声かけに役立てば幸いです。