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2022.03.24

嬉しい変化

こんにちは、訪問看護師の太田です。先日、訪問先で嬉しいことがありましたので、ご紹介させて頂きます。

 一人暮らしの70歳代のご利用者様のことです。
もともとは看護師が訪問し、1週間分のお薬をケースにまとめて出しておくと、そこからご自身で取り出して服用しておられました。
しかし、徐々に飲み忘れが増えてきました。そこで、カレンダー式のお薬ポケットに1日3回 1週間分のお薬を入れて服用してもらうことにしました。

この方法に変えてからも、ヘルパーさんやリハビリ療法士が訪問した際に、服薬確認の声掛けをしましたが、飲み忘れがありました。
曜日を勘違いして、別の日付のお薬を飲んでしまうこともありました。ヘルパーさんも、服用が意識づけできるようにと、飲み終わった後の空袋を入れておく箱を作って下さいました。

しかし、いつしか、ただのごみ入れになっていました。

朝は比較的飲み忘れることが少ないのですが、昼の内服と、誰も訪問されない土、日は飲み忘れが目立ちました。
服薬カレンダーの始まりを看護師の訪問曜日にしてみたり、日にちを大きく書き入れて見やすくするなど、試行錯誤が続きました。
せめて、看護師が訪問した日は忘れず服用できるようにと、目の前にある茶筒に昼、夕のお薬を貼り付けておいたりもしました。

数か月経ったある日、訪問しますとお薬ポケットに全くお薬が残っていなかったのです。

「どこにいってしまった???」と私は焦りました。すると、ご利用者様が、「看護師さんがするように茶筒に自分で貼るようにしてみた。朝の薬飲んだ後に貼っておくようにしてる。そうしたら、目の前にあるから忘れないようになった」と。
テーブルの上を見ると、今日の昼、夕のお薬が既に茶筒に貼り付けられています。

そして、箱の中には、飲み終わった空袋が入っていました。(一部は服用した時点で捨ててしまったようです。)

これまでは飲み忘れがあっても「もう年やから、忘れても仕方ないわ。」と自嘲気味な反応でした。
しかし、心の内では「なんとかしたい」と思っていたのでしょう。
看護師が茶筒に貼り付けているのを見て、自ら「やってみよう」と思い立ったようです。このことに私は感激しました。

療養生活を支援する中で、提案や助言を行う場面が私達にはたくさんあります。しかしご利用者様にとっては、新たな方法や変更を生活の中に組み込むことが難しいと感じて継続できないこともよくあります。
今回は、看護師から提案したのではありません。自ら「なんとかしたい」、「このままではいけない」と考え、行動したことが、習慣として定着することに繋がったと思います。このような変化が、訪問看護をしていて喜びを感じる瞬間です。
今後も、ご利用者様の主体的な行動を引き出せる支援ができればと、日々工夫をしていきたいと改めて思いました。

ユーティー訪問看護ステーション 看護師 太田奈美子