生活の質(QOL)向上のお手伝い
こんにちは。UT訪問看護ステーション 作業療法士の酒井です。
作業療法士の役割の1つに 『自助具の検討・制作』があります。
自助具とは⁇
“身体の不自由な人が日常生活をより便利に、より容易にできるように工夫された、文字通りの『自らを助ける道具』です“(国際福祉機器展資料より)
自助具を使うことで、生活の質(QOL)を高める=「生活をしやすくする」ことが出来ます。
訪問リハビリの場面で私が制作した自助具や既製品などの一部を紹介いたします。
また、自助具を勧めるにあたり、気をつけているチェックポイントも書きましたので、作業療法士の支援が伝わればとおもいます。
~その1~
関節が固くなる病気のリウマチにより手に力が入らず、手が上がらない。
一人で洗髪するための道具として制作しました。
100円ショップで、頭皮用のブラシを探し、柄の部分はスマホスタンドのアーム部分を使い、グリップ部分はスポンジ素材で作りました。実際に使ってもらいながら角度を調整しました。
【チェックポイント】
○弱い力でも持ち上げれる重さかどうか
○関節が固くなっていても持ちやすいグリップ。形状や固さを工夫する。
○頭の後ろも洗えるように角度があっているか。
以前は、ご主人に手伝ってもらっていた洗髪が1人で出来るようになり、自分の加減で洗いたい部分を洗うことができるようになったと喜ばれています。
~その2~
神経損傷により腕を持ち上げることや手を握ることやものを持つことができない方に対して、QOL向上のためタブレットが使用できるような自助具。
腕を支えて小さい力でも動かせるように、ポータブル・スプリングバランサー(PSB)という道具を併用し、タッチペンを保持するための指につける自助具です。
試作品では、タッチペンを挟めるようにキャッチローラーをつけ、指に土台となる板(手芸用品)にベルトを付けました。しかし、タッチペンの反応が悪く上手く使えませんでした。
結局、土台をつけず、直接挟んだところ、タッチペンの反応が良く、手もスムーズに動くようになりました。
タッチペンがずれないよう、ベルト部分には滑り止めを付け、指に当たる部分はスポンジ素材の板にし、軽量化にも成功しました。
タッチペンの伝導を良くするため、先端にはセルロイド製のスポンジを巻いています。
試作品も何個か作りながら完成しました。。。
【チェックポイント】
○操作がしやすいかどうか。
○タッチペンの位置がいいかどうか。使っているうちにずれてこないか。
*タブレットを支える土台はヘルパーさんが作成してくださいました!
(ありがとうございます‼)
これを使うことで、20分程度タブレットを使うことが可能になりました。
現在は、食事動作ができるようにこの道具を応用し練習中です。
~その3~
視覚障害と運動と感覚障害がある方で、生活動作に助けが必要となっていましたが、自分でしたい(爪切りと耳掃除)との希望があり、既製品を使いました。
《爪削り器》
【チェックポイント】
○爪を爪切り部分に上手く当てられるかどうか。
○音で削れているか判断ができるかどうか。
○切った爪の掃除まで一人でできるかどうか。
*切ることはリスクがあったため、削るという方法にしました。
こまめに削る必要はありますが、自分でできるようになり喜んでいます。
《耳掃除》
【チェックポイント】
○麻痺している方の耳に届くかどうか。
○耳を傷つけないか、安全性は大丈夫か。
○使用後道具の掃除が一人でできるかどうか。
*棒はちょうどよい長さで・反対側も上手く掃除できました。
利用者様も「思うように掃除ができる!」と喜んでいます。
このように、しにくい生活動作に対して自助具やリハ機器などを、その方に合わせて選んでいきます。
選ぶ時は今回のように手作りでも既製品でも、その方が使いやすい物を心がけています。
日々過ごす中で、楽しみ・喜びを得るお手伝い、それが自助具の提供という形で出来ていると、作業療法士としてとても嬉しいことです。
できることを通して生活の質(QOL)の改善を支援します。
もしお困りごとがありましたらご相談ください。
作業療法士としてお手伝いしたいと思います。
ユーティー訪問看護ステーション 作業療法士 酒井留美