UTをもっと知る

UTをもっと知る

2023.07.13

コミュニケーション手段

いつもリハビリ発達支援ルームUTキッズをご利用いただきありがとうございます。

本日はコミュニケーションの色々について書き散らしていきたいと思います。散漫な話になるかと思いますが、しばしお付き合いいただけると嬉しいです。

 

コミュニケーション手段の分類として、言語的コミュニケーション、非言語的コミュニケーションという言葉がよく使われます。言葉や手話などは言語的コミュニケーション、表情や身振りなどは非言語的コミュニケーションのように分けられますが、実際のコミュニケーション場面では色んな手段が自然と併用されています。言葉だけでお話していても声の調子が気持ちの伝達を助けてくれますし、さっと言葉が出てこない時のちょっとしたジェスチャー1つが言葉の意味を補ってくれたりします。そういう観点から考えると、表現力豊かな声や身振りを持っている人は、それだけコミュニケーション上手なのだと言えるのかも知れません。

 

私たちが療育で子どもたちと関わる時にも、わかりやすく伝えるためのコミュニケーションの工夫をしていますが、子どもたち自らのコミュニケーション力の育ちをサポートする視点からは、子どもたちが感じていることや考えていることを汲み取ることがまず大切です。まだ上手に伝えられない気持ちをどう表現していけばいいのか、子どもたちは悩みながら自らのコミュニケーション力を養っていきますが、大人が示すモデルを子どもたちは大いに参考にしています。猫のおもちゃをじっと見つめている子に、「ニャンニャンだね」「ニャンニャンちょうだい、だね」「かわいいね」「ニャンニャン(お散歩中に)見たね」。いずれの言葉がけも学びに繋がりますが、気持ちと言葉がけが一致した時にはまた格別の学びがあることと思います。

 

子どもたちは色んな体験や他者との関わりを通じてコミュニケーション力を高めていきますが、実はコミュニケーションには3つのスタイルがあります。自発的なもの、応答的なもの、模倣的なものの3つがあるのですが、それぞれは個別に発達していくと言われています。

夏休みの公園遊び、汗だくになるまで家族で追いかけっこ。「お茶ちょうだい」とママに言うのは自発的コミュニケーション。「お茶取む?」に「うん」と返事をするのは応答的コミュニケーション。「お茶ちょうだい、だね」と言われて「お茶ちょうだい」と真似られるのが模倣的コミュニケーション。それぞれのスタイルでのやり取りを経験することで、状況に合わせた使い分けができるようになっていきます。

 

大人と違って、子どもたちの3つのスタイルのコミュニケーション力にはアンバランスさがあるものです。自発的なコミュニケーションが苦手な子であれば、喉が渇いた時も自分からは気持ちを伝えられないかもしれません。でも応答や模倣が上手だったらどうでしょうか。得意なコミュニケーションのスタイルを活かして自発的なコミュニケーションの経験を積むことができます。

 

大人「お茶飲む?」→子ども「うん」(応答)

大人「お茶ちょうだい、だね」→子ども「お茶ちょうだい」(模倣)

大人「お茶が欲しいんだね。なんて言うんだっけ?」→子ども「お茶ちょうだい」

 

自発的コミュニケーションを行っていくためには、相手に自分から接近してやり取りを開始できることも大切ですが、伝えたい気持ちをどう言葉で表現するのか自分で思い出せる力も重要です。応答や模倣で気持ちを伝えるのが得意な子は、自発的なコミュニケーションの機会が少なく苦手なこともありますが、得意なやり取りをきっかけに自分で表現方法を思い出せる機会も作ることが有効だったりします。また大人が気持ちの先回りをし過ぎないことや事前に伝え方を知らせておくこと(「喉がかわいたら、お茶ちょうだいって教えてね」など)も自発的なコミュニケーションを促すためのポイントとなってきます。

 

書き収まりの悪いところでのお別れになりますが、紙幅が尽きましたので本日はここまでです。長々とお付き合いありがとうございました。

 

 

リハビリ発達支援ルームUTキッズ 言語聴覚士 植田