傷は洗って治しましょう!
<傷にまつわる淡い思い出>
こんにちは。看護師の太田です。
皆さんは、子供の頃に転んでけがをした時にはどんな手当をしていましたか?
私が小学1年生の時に転んで膝を擦りむいた時には、幼馴染の男の子が自分の家に連れて行ってくれて、優しく“赤チン”を塗ってくれました。
今でも胸がキュンッ(⋈◍>◡<◍)。✧♡となる思い出です。
<傷は消毒しないと化膿する?>
しかし、今や3人の母となった私は子供たちにいつも言います。
「けがをした時は、学校ではこう言いなさい!“先生、消毒は要りません!それよりも水で洗ってください!”と。」
「消毒しないと化膿する」、「傷は乾かすと治る」といった考え方は正しくはありません。
転んで擦りむいた傷には、たくさんの砂や汚れが付いています。
そこにいきなり消毒液を付けたところでバイ菌が無くなるわけではありません。
また、消毒することは、バイ菌の繁殖を抑える一方で、傷を治そうと頑張る細胞たちにもダメージを与えてしまいます。
大切なのは、付いた汚れをしっかりと水道水で洗い落として、傷が治ろうとする環境を整えることです。
<傷は乾かすと治る?>
「モイストヒーリング」という言葉を聞いたことはありませんか?
「湿潤療法」という意味です。傷は乾いていては治りません。
傷の表面が適度に湿っていることで治っていきます。
傷はできた直後からその表面に、血液や透明で黄色い液体が滲みます。
この液体の中には傷を治そうと働く細胞たちがいっぱい詰まっています。
この液体をガーゼや絆創膏などで吸い取ってしまってはいけません。
傷の表面が乾いて細胞たちは泳げなくなり、活躍できなくなります。
<我が家の魔法の絆創膏>
それでは傷は何で覆うのかというと、最近ドラッグストアで見かけるちょっと変わった絆創膏、ご存知ですか?
「ハイドロコロイド」という素材が使われている絆創膏です。
傷から出てくる液体たちがこの成分と混ざり合いながら、傷が治っていく土壌を整えていきます。
貼れば傷の痛みは和らぐし、数日間貼っておけば徐々に治っていきます。(傷の程度によっては交換が必要です。)
我が家では「魔法の絆創膏」という愛称で呼んでいます。
<傷を思い切って洗っちゃおう!>
ですが、「魔法の絆創膏」を貼る前に大事なのが「傷をしっかり洗って、付いた汚れを落とすこと」なのです。
小学校高学年の長男は慣れたものです。潔く水道水でジャーっと洗い流します。
低学年の長女はずっと逃げ回って拒否し続けてきました。
しかし、小さなスプレーボトルに、ぬるめのお湯を入れてシュパシュパと吹きつける様に洗い流してあげると、「痛くない!!」と受け入れてくれるようになりました。
で、お次は保育園児の末っ子。
この子はまだ怖がって洗わせてくれないだろうと私が思案していますと、長女が「大丈夫!お姉ちゃんが洗ってあげる!この方法は痛くないよ!一緒にシャワーも浴びちゃおう!」と弟を裸にして浴室に。
私はそのうち末っ子の泣き叫ぶ声が聞こえてくるだろうと思っていたのですが、長女がスプレーボトルにお湯を入れて傷口にシュパシュパ・・・「あ、大丈夫!」と末っ子の笑い声が浴室から聴こえてきました。
傷は化膿することなく、きれいに治りました。
これで我が子達は、これからも母の教えを実践してくれるかな?
ユーティー訪問看護ステーション
看護師 太田
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