「仕事でやりがいを感じるとき」
皆さんこんにちは。
作業療法士の岡本です。
ようやく、暑さも落ち着いてきたので、今年も何とか夏を乗り切ることができたと安心している今日この頃です。
先日、義兄が家に遊びに来た時に、ふとした話の流れから「仕事のどんな時にやりがいを感じるか」という話になりました。
そこで、日々の仕事を振り返ってみると、毎日の色々な場面で、やりがいを感じていると気づきました。その時、特に1人の利用者様(以下:A氏)のことが頭に浮かびました。
その方は、リハビリ介入当初から末期癌であったのですが、ご家族の方針により、A氏には病名が告知されていませんでした。
ベッド上でのみの生活を余儀なくされておりましたが、A氏は「また動けるようになりたい」という気持ちを強く持っておられました。
リハビリに対する期待が強く「もう先生(療法士)におんぶに抱っこで良くしてもらいたいと思ってます」と話されていました。
A氏は、多くの方と同じように、リハビリとは「身体機能を回復させる」というイメージを持っておられました。
そのため、リハビリとは身体機能を回復させるという意味ではなく「その人らしい生活を取り戻す」ことであることを伝え、A氏に対して「私自身ももちろん頑張らせてもらいますが、何といっても日々の生活の中でA氏自身に頑張ってもらわないといけない」という事をお話しさせてもらいました。
すると、A氏はその話が大変心に残ったようで、毎週訪問するたびに「前に先生(療法士)に言ってもらったように、私自身が頑張らなアカンという気持ちでやってます」と話してくれていました。
A氏の強い意志やご家族の協力の甲斐もあり、ベッド上での動作に改善がみられ、ご家族の介護負担も軽減していきました。
しかし、月日が流れるにつれて、A氏の病状は悪化し、しんどさを感じる日が増えてきて、リハビリを休むことが多くなってきました。
リハビリができない日が続いていたため、もうこのままお会いすることなく訪問リハビリサービスが終了してしまいそうだったのですが、ご家族から「先生(療法士)にあったらA氏も喜ぶと思うので」と連絡をもらい、もう一度だけ訪問させてもらうことができました。
私が訪問させてもらう頃には、言葉を話すことが少なくなっており、意識が朦朧としている時も多いと聞いていました。ただ、訪問すると私のことをしっかりと認識して下さり、会話もすることができました。
A氏の体調により、その日は大きな関わりはできなかったですが、会話をしている様子を見ていたご家族の方にも、とても喜んでもらうことができました。
その訪問の数日後に、A氏は永眠されてしまいました。
A氏が長く生きてこられた人生の中で、訪問リハビリでの関りはほんの数ヶ月程度でしたが、その人生の最期に近い時に、ご家族の方に「会ったら喜ぶ人」に選んでもらえたことが、私はとても嬉しかったです。
いわゆる看取り段階のリハビリでは、心身機能が徐々に低下していき、できなることが多くなってしまうため、私自身、ツライと感じてしまうこともあります。
今回のA氏との関りでは、「良くなりたい」という気持ちを強く持っていたため、その希望(その人らしさ)が少しでも実現できるようにということを意識して関わらせてもらいました。
そのような関わりによって、今回のようなA氏との関係性に繋がったのではないかと思っております。
看取り段階といっても、利用者様一人一人によって様々な心身状態や環境におられるので、今後も最期まで「その人らしい生活」ができるように支援していきたいと思います。
皆さんは日々のどんな時にやりがいを感じますか?
ユーティー訪問看護ステーション
作業療法士 岡本光司