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2022.12.08

「電動式人工喉頭」

皆様こんにちは。

サッカーW杯で日本中が大盛り上がりでしたね。

夜中や明け方のテレビ観戦が続きましたが、皆様体調いかがでしょうか。

 

私が訪問している利用者様にパーキンソン病のO様がいらっしゃいます。パーキンソン病の方は飲み込む力が弱くなり、誤嚥性肺炎になる方が多くいらっしゃいます。O様も嚥下障害がひどくなり、ゼリー状の食事しか食べられなくなってしまいました。カラオケが大好きだった方ですが、食べられないことの喪失感が強く、また誤嚥性肺炎も繰り返したため、喉頭摘出術を受けられました。

 

喉頭は様々な重要な役割を果たしています。まず、声を出すための声帯があります。また呼吸や嚥下の手助けもします。このため声帯を摘出することは声の変化のみならず呼吸、嚥下、嗅覚にも影響します。声帯を含む喉頭を摘出する喉頭摘出術後は、呼吸は鼻や口からではなく、首元に開いた呼吸をするための孔(永久気管孔)を通じて行なうことになります。

 

声帯を取ってしまうこと=声が出せなくなる、です。

ジェスチャーや書字で意志を伝えてはおられますが、言いたいことをすぐさま伝えられないもどかしさは大きく、病院の先生から勧められた電気式人工喉頭をご購入されました。

 

人間の声が出る仕組みは、肺から出た息が喉にある声帯をふるわせることで「ブー」という振動音を作り出します。この振動音が声のもととなり、口と舌を動かすことで「話し声」になります。

喉頭摘出術を受けられた方は、振動音を作ることができなくなります。代用発声として食道発声か電動式の人工喉頭での発声があります。食道発声は食道入口部の粘膜のヒダを声帯の代わりに震わせて声を出す方法です。人工喉頭での発声は、スイッチを押すと声帯の代わりに「ブー」という振動音が作り出されます。人工喉頭を喉に当てたまま、話したい言葉に合わせて口と舌を動かすことで話し声になります。

パーキンソン病のため舌や口唇、顎を動かすことが難しいため、人工喉頭を使っての発声はとても難しいのですが、懸命にリハビリに取り組んでおられます。O様が訓練途中で書いた「座右の銘」が下の写真の言葉です。

食べる楽しみを取り戻したO様に、しゃべる楽しみを、さらに歌える楽しみが得られるように訪問で手助けできればと考えております。

 

ユーティー訪問看護ステーション

言語聴覚士 上野なつひ