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2023.01.10

リハビリ発達支援ルームUTキッズ広陵 ドラマ「silent」が教えてくれた「ことば」の大切さ

新しい年がスタートしましたね。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、少し前になりますが、年末話題になっていたドラマ「silent」、みなさんご覧になられましたか。

私は仕事で聴覚障がいの方やお子様にお会いすることもあり、興味があったので録画して見ていました。

以前に手話を少し習っていたこともあり、ストーリーを楽しむのはもちろんのことですが、手話のやり取りや表現を見て勉強したいと思ったのも見始めたきっかけの一つです。

登場される俳優さんたちが、演技だけでなく手話や表情など伝える練習をたくさんされたんだなぁと感じ、引き込まれるように見入ってしまう、そんなドラマでした。

 

感想は人それぞれだと思いますが、私個人の感想としては、音を出来るだけ少なくするような手話でのやり取りにフォーカスした場面がいくつもあり、手話や表情での表現ややり取りに引き込まれ、その作り方がとても印象的だなあと感じました。

 

(以下ネタバレを含みます)

 

ドラマには「若年発症型両側性感音難聴」になり中途失聴者となった、目黒漣さん演じる「想(そう)」と、想の高校の同級生で、川口春奈さん演じる「紬(つむぎ)」が登場します。

また、ろう者である「奈々」、手話教室講師である聴者の「春尾」が出てきます。

それぞれの気持ちや状況などは、実際にドラマを見て感じていただきたいなと思うのですが、見る視点としておすすめなのは、先ほども少しお話した、手話へのフォーカスの仕方です。

ひとつは前述しましたが手話のやり取りに集中できるような演出。

もう一つは「ちょっと自分でもやってみようかな」と思わせるような演出です。

 

例えば手話表現に「プリン」が出てきました。

 

可愛くって、思わずテレビの前でやってみた方もいらっしゃるのではと思います。

私は、自分の子どもたちにも教えて一緒にやりました。

それから「ずっと」の表現の回では発見がありました。

手話を少し習っていて感じたのは、上のようなイラストでの説明だと何となくイメージをつかめるのですが、文字だけの説明を読むだけでは難しく、よく講師の方に尋ねていました。

実際に使ってみたり生徒同士で練習するときに、動かし方や角度の違いを教わっていました。

また、「ずっと」のニュアンスも、「ずっと」なのか、「ずーーっと」なのか、その気持ちの強さによっても表現は変わってくるのかな、と感じました。

 

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手話ってとても奥が深いですね。

講師の先生方から教わったのは、「手話はひとつの言語であり、伝達手段である」ということ。

聞いた当時は、あまりそのことばの意味が理解できていなかったのですが、このドラマでつながったことがあります。

それは、ドラマにも出てきたことですが、

『手話という共通の伝達手段を持っていても、相手の気持ちやどんな人かはわからない』ということ。

当たり前のようですがコミュニケーション手段って、相手に「伝えたい」と思う気持ちがあるこそ、使いたいと思うんですよね。

例えば英語を習ったとして、外国の方と会話が成立したとしても、その人の気持ちや考え方がわかるかどうかは、またその先にあるということです。

「silent」というドラマはそれぞれの人物の心情も丁寧に表現されていたので、手話=伝わる、という単純なことではないのだな、と視聴者が気づくきっかけをたくさん散りばめていたように感じます。

 

そして、「ことば」というのは口から発するものだけではありません。

広くは表情やアイコンタクト、声のトーンや大きさ、指さしを含むジェスチャーなど、伝達しようとしているサインがたくさん含まれます。

そんなそれぞれが発しているサインを、お互い渡し合いながら会話って続いているんですね。

ドラマには口話や手話だけでなく、パソコンテーク(聴覚障害の方が授業を受ける際、リアルタイムで教師の話すことばをパソコン入力し伝えていく手段)やアプリ(音声を文字起こしするもの)など、伝達手段がいくつも登場しました。

 

私は言語聴覚士として、口から発する「ことば」だけにとらわれず、出してくれているすべてのサインをできるだけキャッチできるようにしていきたいと感じました。

また、お子様を取り巻く人たちがその変化に気づけるような橋渡しができるよう、今後も邁進していきたいなと思いました。

 

今年の、これからの抱負です。

 

リハビリ発達支援ルームUTキッズ広陵 言語聴覚士 桑内